machikochi(マチコチ)
ねじまき鳥クロニクル

村上春樹の世界的代表作である小説『ねじまき鳥クロニクル』が、2020年2月11日(火・祝)東京芸術劇場 プレイハウスにて開幕しました。

開幕前日の2/10(月)に行われた公開ゲネプロに東池袋52の原・平間とお邪魔させていただき、芝居、コンテンポラリーダンス、音楽が融合した独創的な世界を堪能してきましたので、ご紹介します!


村上春樹の世界観がここに!舞台「ねじまき鳥クロニクル」

「ねじまき鳥クロニクル」は“Haruki Murakami”が世界で評価されるきっかけとなった作品。

妻のクミコと共に平穏な日々を過ごしていた主人公・トオルが、猫の失踪や謎の女からの電話をきっかけに、奇妙な出来事に巻き込まれ、思いもしない戦いの当事者となっていく物語である。

演出・振付・美術を手がけたのは、「100万回生きたねこ」や「百鬼オペラ『羅生門』」で知られるイスラエルの奇才インバル・ピント、そしてイスラエルを拠点に活動するアミール・クリガーと、マームとジプシーの藤田貴大が脚本・演出を担当。

 

左:渡辺大知 右:成河(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

主演を務めるのは成河渡辺大知の二人。Wキャストではなく、二人で岡田トオルという人間の多面性を歌や音楽、ダンスにより、演劇ならではの手法で表現していく。

門脇麦(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

”死”への興味を持つ風変わりな女子高生・笠原メイを演じるのは、ピュアさと色気を併せ持つ門脇麦

 

このほかの出演者には吹越 満銀粉蝶大貫 勇輔徳永 えり松岡 広大といった実力派たちが集結。

キャストは“演じる・歌う・踊る” “特に踊る” “演奏”という3つのセクションに分かれている。

肉体で演じる役者とシーンごとに心情や空気までも表現する生演奏。

そこにさらに照明と美術が相まって、繊細で複雑で力強くて生々しい…今まで見たことのない世界が広がる。

左:渡辺大知 中央:大貫勇輔(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

中央:松岡広大(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

作家デビュー40周年を迎えた村上春樹の作品群の中でも、きわめて重要な意味を持つと言われる長編『ねじまき鳥クロニクル』。その深い迷宮のような世界を、時代の先端を疾走するエッジの効いた表現者たちの手によって舞台化するという意欲作。

「ねじまき鳥クロニクル」という全3巻の長編大作に挑むにあたり、演出家チームはまず、小説の筋を追う作品にしてはいけないということを注意したそう。舞台作品として立ち上げるからには、演劇に翻案する必然性をもった作品にするべきだという信念のもと、物語を貫く核となる部分を残した上で、大幅な組み換えや設定の変更がほどこしていったとのこと。

1幕は現実世界、2幕は主人公の岡田トオルが井戸の底で“壁抜け”をして、潜在意識の世界(赤坂ナツメグ(銀粉蝶)とシナモン(松岡広大)が運営する奇妙なホテル)と描き分けられている。

主に渡辺が現実世界のトオルを、成河が潜在意識のトオルを演じていた(※ホテルを赤坂ナツメグとシナモンが運営しているのは、舞台上の翻案設定になり、小説とは異なる)。

 

左:成河 中央:吹越満 右:渡辺大知(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

小説でも異彩を放っている間宮中尉の語る戦時体験は、舞台表現としては異例ともいうべき約18分間の長台詞(吹越満)で描かれる。

左:大貫勇輔 右:徳永えり(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

加納クレタ(徳永えり)が綿谷ノボル(大貫勇輔)から暴力的に汚される場面は、インバル・ピントならではのダンス表現となっており、大友良英の緊張感のある音楽と相まって、1幕のハイライトとでもいうべき場面。

門脇麦(撮影:田中亜紀 / 提供:ホリプロ)

笠原メイ役にキャスティングされた門脇麦は、インバル・ピントが一目見たときに「パーフェクト メイ!(完璧なメイ)」と言ったように、本作品に他のキャラクターとは異なる生命力を宿した存在として異彩を放っています。2幕でみせるコケティッシュなダンスと歌声も注目。

 

成河 コメント

レシピのないものをレシピのないままに創り続けてきました。本当に全員で創ったと言えるものになっていると思います。誰のものでもない、でも同時に誰のものでもある、観客の皆さんにとってもそう言えるものになるように願っています。

何かひとつのジャンルで語ることのできない、語らせないような強度と美しさのある作品です。

是非、いろいろな見方で楽しんで頂けると幸いです。

 

渡辺大知 コメント

稽古場では、スタッフ・キャスト全員であらゆる角度からアイデアを出しながら、この『ねじまき鳥クロニクル』という作品に向けて色んな実験を繰り返してきました。

ダンスやフィジカルの使い方など、知らないことや慣れないことも多くありましたが、その実験をしている時間が僕はとにかく好きでした。

最初はどんな舞台になるのか、想像もつきませんでしたが、いまようやく初日を迎えようとしています。

一つ一つのシーンが、細部にいたるまで綿密に形づくられています。

それを感じていただけたら嬉しいです。観た方にはぜひ、色んな想像をしてほしいと思っています。

この作品を観て、なにか刺激を受けていただけたら幸いです。

 

門脇 麦 コメント

劇場に入って、これまで稽古場でつくってきたものに、美術や照明やすべてが加わって、やっとインバルの脳みその中が分かってきました。

ついに色んなピースがはまったな、という感覚です。

正直、私も客席で観てみたい!

間違いなく楽しんでいただけるので、隅々まで目を凝らしてインバルのエッセンスを心ゆくまで浴びて頂きたいです。

お楽しみに!


東池袋52 原・平間の感想は…

【原】:演技とダンスと音楽が混ざり合ってミュージカルとも違う『ねじまき鳥クロニクル』というジャンルがあるような今までにみたことのない舞台でした。

演出が村上春樹さんの世界そのものを表現していたので、自分も物語の中に迷い込んだような感覚になりました。

とくに印象的だったのが、コンテンポラリーダンスです。

あるときは背景の一部のように役者さんの演技を彩っていて、別のシーンではダンスで会話をする、物語が展開していくような場面もあり観ていて引き込まれました。

様々な場面で心が動かされ、観劇当日はもちろん数日たった今でもあとを引くような素敵な作品でした。

 

【平間】:“感性と想像力が刺激される“ように感じました。

元々、ダンスやミュージカルが好きなのですが、今回、見たことのない演出ばかりでした。

日常生活で使用しているソファやテーブルとコンテンポラリーダンスを融合させ、感情を表している点が、とても面白かったです。

普段観劇をされない方も、「これは〇〇を表現しているのかな?」と想像するだけでも楽しいと思います。

吹越満さんの約20分ほどの長ぜりふに圧倒され、とても印象に残っています。

また、一人の男性を、成河さんと渡辺大知さんのお二人で表現することで、複雑な感情が、よりリアルに表現されていました。

門脇麦さんのつかみどころのないような、魅力的な女の子。観ているうちに、ぼんやりとした、目の前にある不思議な世界に引き込まれるような感覚になりました。

インターネットで、映画やライブ映像も見ることの出来る時代ですが、その場の緊張感や出演者の目線・息遣いを感じることが出来るのは、“生”の作品を観劇する醍醐味だと感じました。

 

公演概要

原作:村上春樹

演出・振付・美術:インバル・ピント

脚本・演出:アミール・クリガー

脚本・演出:藤田貴大

音楽:大友良英

照明:ヨアン・ティボリ 音響:井上正弘 ヘアメイク:宮内宏明 通訳:鈴木なお 

美術助手:大島広子 振付助手:皆川まゆむ 演出助手:西祐子 舞台監督:足立充章

 

出演:<演じる・歌う・踊る>

成河、渡辺大知、門脇 麦

大貫勇輔、徳永えり、松岡広大、成田亜佑美、さとうこうじ

吹越 満、銀粉蝶

 

<特に踊る>

大宮大奨、加賀谷一肇、川合ロン、笹本龍史、鈴木美奈子、東海林靖志、西山友貴、皆川まゆむ (50音順)

 

<演奏>

大友良英、イトケン、江川良子

 

<東京公演>

時期:2020年2月11日(火・祝)~3月1日(日)

会場:東京芸術劇場プレイハウス

料金:S席11,000円 サイドシート8,500円

 

チケット取り扱い:

・ホリプロステージ https://horipro-stage.jp

・ホリプロチケットセンター 03-3490-4949

(平日10:00~18:00/土10:00~13:00/日祝休) ほか各プレイガイド

主催:ホリプロ、TOKYO FM

助成:公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京

協力:新潮社 メディアパートナー:朝日新聞社

後援:イスラエル大使館 企画制作:ホリプロ

 

▼公演詳細はこちら https://horipro-stage.jp/stage/nejimaki2020/

▼公式ツイッター  @nejimakistage

お問い合わせ:ホリプロ公演事業部 篠田/大屋/柳本(080-1116-4196)/井上 電話:03-3490-4621

 

<大阪公演>

日程:2020年3月7日(土)~3月8日(日)

3月7日(土)12:00/17:00

3月8日(日)12:00

チケット料金:12,000円(全席指定・税込)

会場:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

催:梅田芸術劇場

お問い合わせ:梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ 06-6377-3888(10:00〜18:00)

 

<愛知公演>

日程:2020年3月14日(土)~3月15日(日)

3月14日(土)13:00

3月15日(日)13:00

チケット料金:S席12,000円、A席10,000円(全席指定・税込)※未就学児入場不可

会場:愛知県芸術劇場大ホール

主催:メ~テレ、メ~テレ事業

お問い合せ:メ~テレ事業 052-331-9966(祝日を除く月-金10:00~18:00)