machikochi(マチコチ)

2018年8月に池袋の街に突如現れた“大仏様”をご存知でしょうか?

10代の時からなぜか大仏やお寺が好きで、1人でふら~っとお寺に行くこともあった私は、池袋に大仏が出来たと聞いてずっと気になっていました。

2018年11月某日、とても良く晴れた日で、仕事の休憩中にふと「行ってみようかな」と思い立って、大仏がある仙行寺に向かいました。

大仏様は南池袋公園の近くの仙行寺本堂ビルにあります。

地図アプリを見ながら向かった私は、このオシャレなビルがまさかお寺だとは思わず、ビルの前を一回通り過ぎてまた戻ってきたのでした。

 

 

 

 

本堂ビルに入ってみると、さっそく正面に大仏様がいらっしゃいました。

ゆっくり近づいてまずは全体を拝見。高さは4.6mとのことなので、鎌倉や奈良にある大仏をイメージされている方は、少し小さく感じるかもしれませんが、雰囲気のある照明に照らされた美しく繊細なフォルムは、見応え十分です。

“大仏”というと、私の勝手なイメージですが“凛々しさ”“逞しさ”“雄大さ”を強く感じていたのですが、仙行寺の大仏は“優しさ”“穏やかさ”を感じました。

都会の真ん中で、しかも自分が毎日いる場所で、こんなに美しい大仏にお会いできるなんて、ちょっと嬉しくなりました。

さっそくお参りをさせていただくことに。

私はお参りをした後、大仏様の顔を見上げて半眼の状態の目を見つめながら心を“無”にするのが好きなのですが、この日も同じようにさせてもらいました。

吸い込まれそうな目を見つめると心が浄化されるような気がして、やっぱり落ち着きます。

しばらく大仏を見上げているうちに、せっかくなのでこの大仏についてお寺の方に聞いてみたいと思い立ってお寺にお願いすると、お客様担当の大場さんが快くお受けしてくださいました。

まずは大仏の基本的な情報をおしえてくれました。

こちらの大仏の正式名称は「二丈釋迦如来大佛」で、総ヒノキでできているそうです。

2011年の東日本大震災で、木造の旧本堂が損傷したため建て替えることになり、それに合わせて「二丈釋迦如来大佛」が造られました。

また、金属で造られている大仏は型に金属を流し込んで作るのが一般的ですが、こちらの「二丈釋迦如来大佛」はヒノキを手掘りして造られているとのことです。

 

また、“4.6m”という高さですが、この大きさにはちゃんとした意味があるようで、“子供が親を見上げるような高さ”がちょうど4.6mとのこと。

私が最初に“優しさ”“穏やかさ”を感じたのは、もしかすると手掘りで造られた4.6mの大仏だからなのかもしれませんね。

そして、「二丈釋迦如来大佛」の一番の特徴は、「空中に浮かんでいる」ことです。

 

浮かんでいます!

てっきり空中に“浮かんでいるように見える造り“なのかと思っていたのですが、「二丈釋迦如来大佛」の下をよく見ると土台などはなく、本当に“空中に浮いている”のです。

 

 

 

なんで空中に浮いているのかを大場さんに聞いてみると、それは「二丈釋迦如来大佛」を造られた大佛師の渡邊勢山(わたなべせいざん)氏の強いこだわりだったようで、

——————–

渡邊氏は、仏はそもそもエネルギーの塊であり、光の珠の様な存在とも思っているので、いわゆる佛としては重さもなく実体もないものと考え、その象徴として雲に浮かぶ姿を求めておられました。「二丈釋迦如来大佛」は、この考えの集大成とも言えるものです。

実の所御佛像はヒノキの彫刻です。実際重量が無いどころか1.5トンもの重量になります。
それを支える見えない構造が必要になり、いろいろな方の協力を得て完成しました。

——————–

と教えていただきました。

実際の構造は、大仏の台座となる雲の部分に支柱を通して背面の壁に固定していて、その上に大仏が乗っているようです。

(つまり、台座のみ固定されていて、大仏はどこにも固定されていないということです。ちょっと驚きです。)

そして、私が一番聞きたかったことを聞いてみることにしました。

なぜ、この場所に大仏を造ったのでしょうか?

大場さんによると、以前からこちらの仙行寺には日常的にお参りに足を運んでくれる方が多くいらっしゃったそうです。

たくさんの人々が手を合わせて祈る姿を見て、現住職の朝比奈文邃(あさひなぶんすい)氏が「これこそお寺の本来の姿ではないか」と寺の役割について再考し、日々の生活の中で祈りたくなった時、不安になったとき、迷った時、元気がない時など“心”が乱れた時に、ふらっと立ち寄って手を合わせられる場所をつくりたいと強く思い、その思いが「二丈釋迦如来大佛」を造るきっかけになったようです。

実際「二丈釋迦如来大佛」の体内には既に8400巻以上の写経が納経されており、その数は日々増え続けています。

また、仙行寺の3~6階には屋内墓苑が併設されており、お墓に入られている方やお墓にお参りに来られる方を守るという思いもあるとのことでした。

大場さんは、

体の調子が悪くなった場合はお医者様へ行けば治ることが多いです。このお寺は体の不調よりも、どちらかと言うと心や精神が元気がない時に人々の支えになればと考えております。このお寺に来て祈ることが、皆様の心を落ち着かせるきっかけになっていただければいいなと思っています。

とおっしゃっていました。

それを聞いた時、実は私はちょっと驚いていました。

この日私は些細なことでちょっと気持ちが乱れていました。今日なんとなく大仏を見に行こうと思ったのは、もしかしたらそんな私を「二丈釋迦如来大佛」が引き寄せたのではないか?これは巡り合わせ?と思ってしまいました。

そして、いつも誰かにお会いする度に感じるのが、やはり直接お話を聞くということは大切ですね。今回も大場さんにお会いしないとわからなかったことがたくさんありました。

最初に「池袋に大仏ができた」と知ったとき、ネットの記事を見て知ったこともあり、“新たな観光スポット”のような意味合いが大きいのかと勝手に思っていました。(申し訳ありません)

しかし大場さんのお話をお聞きして、このような思いが込められている大仏なんだということを知り、「より多くの人にこの大仏のことを知ってもらいたい」と私自身強く思ったのでこれを書きました。

もし、これを読んで大仏に会いに行きたくなった方、“思い立ったが吉日”とも言いますし、この記事を見ていること自体が何かのご縁かもしれません。ぜひ仙行寺に行ってみてくださいね。

——————–

■仙行寺

住所:劇場「シアターグリーン」の隣にあります。)

参拝時間:10:00〜17:00

拝観料:無料

——————–